忍者ブログ
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

Akabayashi A, Slingsby BT, Kai I. Perspectives on advance directives in Japanese society: A population-based questionnaire survey. BMC Med Ethics. 2003;4:E5.


【デザイン】 東京に住む一般住民を対象にランダムに選択し、14項目の自記式質問紙を郵送してデータを集めた。(1) ADに関する希望や態度、認識、経験の調査、(2) この希望に影響する因子の特定、(3) 後に日本でADの導入に当たり適切な方法を検討する基礎的データの作成、の3点を目的に実施。

【結果】 560名に郵送して、425名(75.9%)が参加した。20歳から60歳以上にばらけて、平均年齢44.7歳だった。
AD(LW)の認識は、156名(36.7%)が知っていたが、記載したことがあるのは12名(7.7%)だけだった。170名(40.0%)が聞いたことがある、97名(22.8%)は意味を知らなかった。
ADへの賛同は「強く同意」115名(27.1%)、「同意」227名(53.4%)だった。賛同の理由は、「自分の希望を書いておきたい」、「自分の選んだ治療をしたい」、「家族に決断の負担をかけたくない」、「自分で選択したい」、が60%超の回答だった。また、賛同しない理由は、「必要な時に家族が決めるから」、「その時に医師が決めるから」、「元気なので必要ない」、「想像できない」が40%超の回答だった。
Leewayについて、「できるだけその通りがよいが、理屈が通るなら厳密でなくてよい」234名(68.4%)、「完全一致」45名(13.2%)、「単なる参考として」4名(1.2%)だった。
ADの伝え方として、「書面で」166名(48.5%)、「口頭で」145名(42.2%)だった。書面の場合の法律制定について、「必要」90名(54.2%)、「必要ない」40名(24.1名)だった。

【考察】 結果からは、(1)最も重要な点は、EOLでの治療の細目と診断や予後の開示、 (2)事前指示は書面よりも口頭で家族や医師に伝えることがよい、(3)ADに関する法制定の要求は強くない、(4)家族や医師が本人の事前指示を大まかに解釈することに許容、(5)代理人には家族や親戚、配偶者が適切、の5つのことが言えた。
Leewayに関して、ガイドラインや法制定によって確立されることを避け、信頼する人に解釈のleewayを残すことを好む傾向があった。法制定に賛同しないことは、日本人の権利意識の主張は自己中心的や虚栄心のように解釈される傾向がある点を文化的な要因として考察した。Leewayを好む理由として、あるイベントに対する価値観や態度がそのイベント経験によって非常に大きな影響を受けるsituational decision makingが日本で蔓延っていることを理由に挙げた。Situational decision makingはADの概念とは正反対だが、家族への「おまかせ」によってこれを回避することができるが、その「おまかせ」こそが日本の医療における文化的特徴。

【感想など】 事前指示は文面より口頭でという点は少し疑問が残る?、Leewayと日本の文化的特徴の考察は同意。研究でもここの内容が質的に示すことができているように思える。おまかせを肯定的に捉えて、ADのシステムの中にどのように組み込むかが検討のしどころか。
PR
McPherson CJ, Wilson KG, Murray MA. Feeling like a burden to others: a systematic review focusing on the end of life. Palliat Med. 2007;21(2):115-128.


【デザイン】 終末期に本人が他者への負担をかけることを心配するself-perceived burden(SBP)についてのレビュー。質的、量的研究の双方の結果を、①どんな末期患者がSBPを経験するか、②SPBと関連する要素を明確にする、③意思決定に影響するSPBの大きさ、の3つの観点からまとめた。

【結果】
(1) 質的研究
末期患者のSPBはQOL、Good death、Existential distress、Dignityに関連した。身体的、社会的、感情的なSPBが存在し、これらは末期患者の現在の状況だけでなく、予期する今後の体力低下にも関連して表出された。将来のSPBとして、代理意志決定に関わる負担、死後の遺族の感情的負担があった。 末期患者のQOLに影響する要因5つの1つが関係であり、その関係の中には家族や医療者に負担になることが含まれた。Good deathを構成する要因の1つにSPBが含まれ、その負担の内容として、家族の介護負担、死に直面する家族の負担、延命治療に関する代理意思決定の負担、経済的負担、などが挙げられ、これらを介護者と相談することそのものが負担になるため躊躇した。また、このSPBは患者本人にとっては大きな負担だが、患者以外のグループでは実感していなかった(Ann Intern Med. 2000;132:825-32.)。Existential distressは主に人間関係(他者に迷惑を申し訳ない、自分の役割を果たせない苛立ち)の側面でのSPBによる影響だった。Dignityについて、SPBはsocial dignity inventoryを構成する1項目とされ、自身の死後に遺族に対して負担になる”aftermath concern”もあった。
(2) 量的研究
SPBの頻度は高い(データはいろいろ)だが、患者や一般人に比べて医療者は低く見積もっていた結果もあった。SPBは身体症状(疼痛、虚弱、呼吸苦)、心理症状(抑うつ、興味の減退、不安)、実存的な問題(コントロール感の低下、自尊心の喪失、希望のなさ)に関連したが、身体症状よりも心理や実存との関連が強かった。また、ADLや身体機能よりも心理状態との関連が強かった。実存的な問題の構成要素としてautonomy、自尊心の低下、希望のなさがあったが、特に自尊心の低下にSPBが関係した。基本属性としての年齢や性別、教育はSPBのprevalenceと関連がなかったが、既婚や配偶者が介護者の場合、また介護者のニードや責任と競合する場合にSPBは多かった。さらに重要なことは、多く介護負担が実際に必要な人は、症状を隠して介護の要求をしない傾向がある。
(3) 意志決定との関連
意志決定の上で個人の価値観の中で重要なものの1つがSPBだった。これは入院患者でも慢性疾患患者でも一般人口でもあてはまった。意思決定の背景にある価値観としてのSPBには、家族の一般的な損失、経済負担、家族の感情的負担、介護負担、社会にとっての負担(浪費)の5つの側面があった。また、SPBは家族の負担を軽減したいことでadvance care planningに取り組む理由になった。当時に、ケアの場所を自宅ではなくホスピスなどを希望する理由にもなり、特に、子に介護負担をかけないことが希望するケアの場と理想の場を分ける最大の要因だった。自宅療養について、サービス外の介護、家族の負担、施設ケアの方が質が高い、自宅にケアが入り込むこと、を心配した。

【感想など】 Self-perceived burdenそのものは文化的特異性がなさそう。ここでの結果と比して、日本で特徴的な事柄は、末期状態ではない患者が主に自身の経験に基づいて、ADを書く上で予想して語っている点だが、ぴったりこれについてもレビューされていた。patient autonomyやself-determinationを前提とした意思決定においてSPBを論じている点は、日本とは違うので、その切り口からの考察はできるか。レビューした研究52は中国人を対象にして文化的な要因についての考察があるらしい。

Kelly B, Rid A, Wendler D. Systematic Review: Individuals’ Goals for surrogate Decision-Making. JAGS. 2012;60:884-895.

【デザイン】 意志決定代理人を決めておらず、ADを書いていない場合、自身の治療についてどのように決めて欲しいのか、近親者に頼り、代理意思決定のスタンダードを踏襲するよう説明する現在の臨床は、本人のゴールに沿ったものなのか、という疑問からのレビュー。2010年8月以前の研究について、終末期、態度、家族または代理人のキーワードで検索した。6558の文献からアブストラクト→本文を読んで40文献(14 qual、26 quan)を選んだ。

【結果】
Who individuals want to make decision for them
大多数の研究参加者は近しい家族を代理意思決定者として希望した。配偶者を希望するケースと自分の子(成人した)を希望する場合があった。家族の反対や葛藤のため、意思決定に家族を巻き込みたくない人もあった。15の文献では、家族のメンバーが一緒に決めて欲しいという考えが大半だった。そのほとんどは意思決定の過程で、家族が医師と相談して決めて欲しいという希望だった。
Reasons for surrogate preference
家族を選ぶ多くの理由は、家族が最も自分の希望をよく知っているはずだという考えだった。また、それが以前の家族とのディスカッションに基づいている場合もあった。家族を希望した背景には、自分の希望を実行してくれる、または自分にとっての利益を守ってくれる、と信じていた。
How much leeway do individuals want to grant their surrogates
大半の文献はleewayを定義していなかったが、1つだけはfreedom to do what they think is best for youと定義した。研究によってleewayをどの程度認めるかは大きく異なった。量的研究では、58-63%がnone or little leeway (want the surrogates to follow their AD strictly or as much as possible)で、33-42%がa lot or complete leeway (reference only)だった。3%の少数意見として、希望が通るかは気にしないというものもあった。質的研究でも同様に一定の傾向がない結果だった。Leewayの認める/認めないの理由についてもバラつき、多くの場合は単純に自身の希望を通して欲しいというものだったが、本人の希望に従うことで家族の負担を避ける方法ととらえることもあった。

【limitations】 著者は5つのlimitationsを挙げた。文化的要因について、国や文化毎の差異を検討するほどのデータ量がなかった。また、leewayは定義が不明確で、flexibility in interpreting the individual’s stated preferenceとした場合と、flexibility to make decisions that were not consistent with the individual’s stated preferenceとした場合が混在した。

【考察】 ADなし、代理人の指定なしの患者のゴールは、(1)近しい家族に医師と相談して治療の意志決定をして欲しい、(2)自身の希望や価値観に合致した治療を決めて欲しい、家族に頼ればこれは可能だ、(3)家族の負担を最小限にしたい、の3つを挙げられた。過去のレビューでは、家族は本人の希望を知らないことが多く、代理人として意志決定する際に負担を感じていた。そのため、現状で1/3しか実現できていないことになる。Implications for future researchとして、shared decision makingを利用した医師と家族での相談が考えられるが、医師は本人の希望を何も知らないので(3)の家族の負担を軽減することはできても、(2)は厳しい。ADがない場合の本人の希望について、sociodemographic characteristicsに基づいて予測する方法を著者の一人が開発しており、これによる(2)の本人の希望の実現の可能性を高めるアプローチも考えられる。

【感想など】 ADがない場合でも、代理人に求めるものは、自身の希望や価値観、利益を優先してくれる、という考えのようだが、日本ではやはり「家族の価値観で決まる」とか、本人の希望は希望として明確にしたいが、AD as a referenceの考えが強い。Leewayの考え方からの検討が必要だが、これは日本の研究が2つレビューされており、元の論文を読んでみる必要がある(BMC Med Ethics. 2003;4:E5、BMC Med Ethics. 2006;7:E11)。

Schenker Y, et al. I Don’t Want to Be the One saying ‘We Should Just Let Him Die’: Intrapersonal Tensions Experienced by Surrogate Decision Makers in the ICU. J Gen Intern Med. 2012;27(12):1657-65.


【デザイン】 米国ピッツバーグの2つの大学で5つのICUに入院した患者で、50%以上の確率で死亡または後遺症が残ることを予想された時に、その患者の代理意思決定者となる家族1名に対して、半構造化面接をして文字起こしして、constant comparative methodを用いて質的に分析。ICU入室した患者のLSTに巻き込まれている渦中の家族の葛藤を明確にすることを目的とした。

【結果】
家族の葛藤(intrapersonal tension)
(1) Responsibility for a loved one’s death…愛する家族に生か死かを選ぶ決断を前に、本人の価値観に基づいて振る舞うことが困難で、LSTの中止を「あきらめる」などnegativeに表現し、後に続く自身の心理的負担を予想した。患者の希望と代理人本人の感情の間の葛藤を表現することもあり、この葛藤が意思決定の負担を大きくした。
(2) A chance of recovery…ほとんどの場合、回復の可能性の追求について言及して、意思決定に影響した。
(3) Family wellbeing…多くの場合、家族のニードについて言及し、家族のニードと患者の希望の間での葛藤があった。また、LST中止に反対する家族からの非難を恐れていた。また、患者にとってのベストと家族にとってのベストを天秤にかけるケースもあった。

家族のcoping
(1) Recalling previous discussions…大多数は本人との以前の対話を思い出して、本人の価値観を再認識することで、家族自身の意志決定のストレスを慰めた。それでも、その内容を現状に当てはめる点で困難があった。
(2) Sharing decisions with family members…他の家族と相談することで意思決定の負担を分散し、将来の家族からの非難がないように試みたが、時にそれが意思決定をより複雑で困難にすることもあった。
(3) Delaying or deferring decision making…患者の希望と家族の感情やニードを調和させるためや、情報を集めて咀嚼するため、困難な決定を先送りするために、意志決定を遅らせたり延期した。
(4) Spiritual/Religious practices…多くは祈ることを希望の拠り所としたが、神に決断を求めるケースもあった。後者にとって、意思決定に神を巻き込むことで責任を軽くし、孤独感から逃れた。
(5) Story-telling ICUの家族待合いで希望や恐れについて、似たような状況の他人に話すことで負担を軽くし、孤独感を減らした。また、この研究での面接そのものが助けになったと話した。

【考察】 代理人が代理意思決定のスタンダードに忠実に従うことに、代理人は自身の役割が家族の希望を代弁することだと理解したが、このアプローチに忠実に従うことは、代理人自身や他の家族の感情的なニーズの側面で困難を伴った。この点で、特に患者の希望が家族の感情的なニーズと相反する場合、代理人の家族に「本人だったら何を望んだか」にフォーカスするよう単に急き立てることは不十分。

【感想など】 Patient autonomyが前提とした正義と、家族の感情や責任の間での葛藤があった。葛藤の内容は非常に共通しているが、やはり前提とする点がpatient autonomyなのか、家族の合議決定なのか、という点が異なる。 また、日本での代理意思決定を体験した家族たちは、ADがない場合に、本当に自己決定よりも家族の合議決定を優先したのか、という疑問と、YesならばそこにAD、ACPをどう位置付けるかという点が次の課題になる。

Fritch J, Petronio S, Helft PR, Torke A. Making Decisions for Hospitalized Older Adults: Ethical Factors Considered by Family Surrogates. J Clin Ethics. 2013;24(2):125-134.

【デザイン】 米国の2つの大学関連の市中病院の内科またはICU入院した65歳以上の患者の、手技や手術、LST、施設退院に関する代理意思決定をした代理人35人に対し、その事象から1か月以内(死亡の場合は2-5ヵ月後)に半構造化in-depthインタビューをして、テープ起こしして、2人の研究者がgrounded theoryを用いて分析した質的研究。

【結果】 代理人35人のうち1人を除き血縁者で、患者本人との親密さは人それぞれ。
Patient-centered factors
(1)本人の意見patient’s input…積極的に患者とディスカッションして一緒に意思決定する場合、例え自己決定ができない状態と判断されていても本人にできるだけ丸投げする場合
(2)患者の事前意志の情報knowledge of patient’s prior wishes…情報があればそれを基に意志決定、なければ欲しかったという希望
(3)患者に最大の利益Patient’s best interests…健康状態の改善の利益、苦痛やQOLの観点での利益、手技に関するリスクと利益について、信頼する主治医の意見を丸飲み、の4パターンがある。
Surrogate-centered factors
(1)代理人の希望をガイドにするsurrogate’s wishes as a guide…自身の希望や患者の立場になったと仮定しての希望を決断の主要な手段にする場合と、患者の希望等が分からない場合のバックアップガイドに使う場合がある。
(2)代理人の宗教観・スピリチュアリティsurrogate’s religious belief/spirituality…神の意志だという意味づけをするなど、代理人の宗教観やスピリチュアリティに基づく決定。
(3)代理人の利益surrogate’s interests…代理人の希望を上回って代理人のライフスタイルへの利益が優先された決断。家族の合議決定family consensus…家族の合議で最適な決断に到達しようとする場合や責任を分散する場合がある。

【考察】 本来的な患者の自己決定の擁護に力点を置くものの、それ以外にも代理人自身の希望や利益、感情、宗教観、介護経験を考えて代理意思決定をしており、標準的な患者中心のモデルは代理意思決定において完全な枠組みではない。

【感想など】 この研究では、自己決定>家族の合議決定という本来的な倫理観(あくまで、leewayとして代理人の要素がある)が背景にあって、Surrogate decision makingで代理人の感情や価値観、宗教観、利益も検討していたため、倫理的な枠組みの再検討が必要と考察。日本の研究ではADを書く際にほぼ同様の内容を既に予想しており、さらにADの使い方の違い(主客転倒)が文化的要因を強く受けている。
カレンダー
07 2016/08 09
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31
フリーエリア
最新CM
[07/10 Abuteyav]
[07/07 Adadesew]
[07/05 Azamuruf]
[06/30 Asasoteb]
[06/16 Atesetes]
最新TB
プロフィール
HN:
syu-net
性別:
非公開
バーコード
ブログ内検索
P R
忍者ブログ [PR]
Copyright(C) for heaven's sake! All Rights Reserved